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億百千の赤い火Vol.9
億百千の赤い火

東京 1998. 4. 2- 4. 5 下北沢ザ・スズナリ
盛岡 1998. 4.29  盛岡劇場タウンホール
仙台 1998. 5. 3 エルパーク仙台スタジオホール
大阪 1998. 5.12 扇町ミュージアムスクエア
浜松 1998. 5.15 浜松福祉文化会館

前売 3000円
当日 3300円


Cast
不二稿京、長谷川公彦、奈佐健臣、塔嶌昭三、峯田靖之、金濱夏世、水口真光、山村志津子、黒葛野智春、林栄次
山崎榮、宮地大介、北野ひろし

Staff
作・演出/不二稿京 照明/瀬戸光信 音響プラン/奈佐健臣 音響オペレーター/千葉祐香、遠藤夕香理 舞台美術/長谷川公彦 舞台監督/渡辺直樹 宣伝美術/不二稿京 画/辛島舟示古 記録スチール/丸山智、近藤太 記録VTR/佐藤隆生 印刷/紙谷印刷 制作/オルガンヴィトー制作部 協力/川島征布、進藤則夫、熊谷徹子、大泉千春、小倉夏江、初田真美、南川智紀、石倉正美、扇町ミュージアムスクエア、Theater Group OCT/PASS、龍前照明、よしこ、劇団IQ150

「億百千の赤い火」スチール
「億百千の赤い火」スチール
「億百千の赤い火」スチール
「億百千の赤い火」スチール
「億百千の赤い火」スチール

季節の匂いなど失われた2013年。どんよりと垂れこめた大気の下、這うように人々の生活が営まれている頃。とある下町のそこは、裏手に流れるどぶ川の悪臭が鼻につく掃き溜めのような寂れた一角。泪橋を超えたどん詰まりのそこは、ヘドロを埋め立てた湿地の上に立つ小さなハガネ工場。向かいには、養豚場の屠殺場が見える。

身元の怪しい従業員らが悪辣な工場主夫婦に搾取されながら細々と働いているその人生の掃き溜めの様なハガネ工場に、ある暴風雨の晩、裏のどぶ川をうろついていた記憶喪失の男が拾われる。過去の無いまま工場で雇われた男は、ある日忽然と現われた見知らぬ部屋に迷い込んでいる自分に気付く。男の脳の闇に封じ込められた過去。神経細胞(ニューロン)の森をくぐり抜け、男はあやかしの町に住む姉の部屋を訪れるようになる。過去の無いままの工場での日常と、記憶の断片を紡ぐようにして現われる懐かしい姉との時間。だがやがて、男は工場で起きた工場主殺しの疑いを掛けられる。凶器に使われた養豚場の撲殺用金属バットが、男の閉じ込められていた記憶を呼び起こす。しだいに変容してゆくあやかしの姉。やがて脳の闇に封じ込められていた痛ましい過去がニューロンの森の奥から青ざめた恐怖の馬の姿を借りて男の前に現われ、懐かしく誰よりも温かなたった一人の姉を森の奥へと引き戻してしまう。すべてを思い出した男の目の前に、撲殺される豚の悲鳴と共に億百千の赤い閃光が走る。

避難警報が流れ、猛り狂うような地響きの中、辺り一体は水没を始める。闇に包まれた男を呑み込んでゆく。


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