Vol.8
ハムレット異聞

1997.10. 9-10.12　下北沢ザ・スズナリ
前売　３０００円　当日　３２００円

    恐怖に溺れ
        濡れ鱗ぬめらし彷徨う
      俺は醜い半魚の怪物！

生か・・・死か？

Cast
不二稿京、長谷川公彦、奈佐健臣、塔嶌昭三、大内貴仁、金濱夏世、水口真光、阿部由輝子、前川芳昭、峯田靖之、大久保了

Staff
作・演出／不二稿京　照明／瀬戸光信　音響プラン／奈佐健臣　音響オペレーター／藤本かずし　舞台美術／長谷川公彦　舞台監督／渡辺直樹　宣伝美術／不二稿京　画／中林正樹　記録スチール／近藤太　記録ＶＴＲ／佐藤隆生　印刷／紙谷印刷　制作／塔嶌昭三、藤本かずし　協力／龍前照明　協賛／（有）ジェイウォーカー

敗戦後の荒野となった日本を逞しく創り変えていく勢力。その象徴的な存在である土建屋の一族の末弟に生まれた清吾（ハムレット）は、あるべき秩序を破壊してまで豊かさの幻影に溺れてゆく一族への嫌悪から、異端児としての道を選ぶ。

そして十年、耳から垂らされた農薬によって長兄・清一が狂死したところから、物語は始まる。十年ぶりに、故郷に戻った末弟・清吾。かつて清吾には、差別され貧しく暮らす墓堀りの娘・碧という恋人があったが、自分らの精神的な風景とも言える神様の住む沼、神沼をも埋め立て、レジャーランドに作り替えてしまう長兄・清一によって、その恋人をも奪い取られ、絶望のなかで出奔していたのだった。四九の日の法要の席で、残された妻・碧と、次兄・玲児の婚礼が披露される・・・。

神沼に住む神魚の祟りか、鱗となって現われる復讐心。そこに織り交ぜられるキュクロプス神話　－－－人魚に恋した一つ目の巨人キュクロプスは、人魚の愛する美青年を大岩で押し潰すが、滲み出た血の流れはやがて岩をも砕き、泉となった－－－　長兄の作った大観覧車キュクロプスの影に怯え、沼の人魚の幻影に恋する清吾。復讐劇によって流される血の海は、やがてレジャーランドを沈没させ、沼地へと戻してゆく・・・